「開会の挨拶とコロナウイルスの現状」
開会前にNPO法人QOLサポート研究会の講演会開催を第20回まで支援してくださった皆様に総合司会を担当した高尚子氏が感謝を述べた。
諸般の事情により会に出席できなかった大槻公一氏に代わり司会担当の金沢大学教授の市村宏氏が開会の挨拶とコロナウイルスの現状を報告した。
「活動報告」
理事長松本高明氏の活動報告では第20回まで講演会を開催してこられた感謝と厳しい現在の状況の中で講演をお受けくださった講師の先生方、この会に参加してくださった皆様方に厚い感謝を述べられた。
活動報告ではNPO法人QOLサポート研究会の第20回までの活動報告を詳しく紹介し、さらに現在実施している活動を含め、今後取り組む事業内容を紹介し協力を求めた。
第1部:講演会
講演1:岡部信彦氏「新型コロナウイルス感染症―現状とこれから」
岡部氏の講演ははじめに「寺田寅彦 昭和10年11月小爆発2件より」を引用された「正しく 怖れる」をスライドで示された。限られた時間の中でスライドのデータを丁寧に解説された。
国内外また国内の地域別の新型コロナウイルスの流行状況それに伴う緊急事態宣言、また、まん延防止等重点措置の意味を説明された。
典型的な新型コロナウイルス感染症の経緯についての説明に続き一人の感染者が生みだした2次感染者数のデータを基に感染症予防の基本とその方法を図解を加えて説明し更に現在検討されている飛沫感染、空気感染についても実施されている実験の方法等も紹介した。
ワクチン接種が2月から開始され関心を持たれている新型コロナウイルスワクチンの作用機序(ファイザー製)について説明された。さらに新型コロナウイルスの国内発生動向、また講演会前日埼玉県感染症専門家会議で提出された高齢者施設における感染発生施設数、陽性者数等の新しいデータも紹介された。
最後にむずかしい問題ではあるが、「どうなるとwith Coronaか」については呼吸器感染症の原因は多く高齢者にとっては重症になり命取りになる。若者、小児にとっても侮れないことがある。変異ウイルスの影響もあるがどの程度の発生であれば、注意しながら通常につきあえるかについてはインフルエンザ並みの致死率になればという考えもありインフルエンザウイルスの定点報告と感染対策の基本をスライドで示された。
それにはできる限り広げない工夫、人への気遣い、重症(重症になりそうな人)な方に適切な医療、尊厳ある医療、看取り、通常の医療の維持ができていることの必要性を述べられた。注意をしなくても普通の生活ができるのではなくて、注意をすれば普通の生活ができる。
ウイルスが嫌うのは「人のやさしさ」です。人への思いやりがウイルスをやっつけます。と最後に話された。
講演2:鈴木秀俊氏「今が時 時が今 コロナに勝つ身体運動」
鈴木氏による筋肉の減少に関する理論では筋肉が減少すると身体の老化が早まり転倒しやすくなり要介護状態に陥るリスクが高まる等筋肉の減少に伴う弊害を述べられた。
しかし何才になっても筋肉はきたえれば増やすことができるその方法について会場で直接指導された。
手拭等を使用した8の字を描く運動、歩き方等々。
毎日の短時間の運動は免疫力を高める上でも必要であることを強調された。
講演3:野口千代子氏「抗老化対策としての発声エクササイズ」
講演の内容は 発声医学と抗老化、声の老化原因、声のアンチエイジングの効果、1日10分のエクササイズ等について丁寧に説明された。現在先の見えないコロナウイルス流行は声を出す機会が多く妨げられている。
そのような状況のなかでマスクをつけて音楽と講師のリズムに合わせて指導された座ったままのマラソンは会場を盛り上げ参加者に活力を与えた。
NPO法人QOLサポート研究会は開催に至るまで新型コロナウイルスに対する感染予防対策を多方面から検討し準備を進めた。「QOLを高める」をテーマとした今回の講演会は時を得た内容であり今後日常生活のなかで感染症とどのように向かい合うべきかその指針を学ぶことができた。参加者からはじめて学ぶことが多く参加してよかった等々の意見がアンケートに多く寄せられた。
現在新型コロナウイルスの動向が見えない状況ではあるが、今回の講演会は感染症に対する対策の基礎を学び市民のQOL向上を目的とするNPO法人QOLサポート研究会の活動を前進させる成果を得たと確信した。