新型コロナウイルスに関する情報(2020年2月15日報告)

現在、新型コロナウイルスの終息は全く先の見えない現況が続いています。当研究会は2020年2月から、新型コロナウイルスの動向とそれに関する情報について調査し報告しております。この1年間新型コロナウイルスについて研究も進められ新しい知見も報告されていますが、はじめにコロナウイルスのなかでヒトに感染するコロナウイルスのウイルス学的特徴について基礎的な情報を紹介します。

Ⅰ. ヒトに感染するコロナウイルス

  1. 風邪のコロナウイルス(Human Corona Virus:HCoV)ヒトに日常的に感染する4種類のウイルスがある。風邪の10~15%(流行期35%)は4種類のウイルスを原因とする。冬季に流行のピークが見られ子どもは6歳までに感染を経験する。多くは軽症だが高熱を引き起こすこともある。
  2. 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(Severe Acute Respiratory Syndrome:SARS―CoV)2002年に中国広東省で発生。2002年11月~2003年7月に30を超える地域に拡大。2003年の報告では8069人患者、775人重症肺炎(致死率9.6%)。咳や飛沫。感染者の中にスーパースプレッダーがいた。
  3. 中東呼吸器症候群コロナウイルス(Middle East Respiatory Syndrome:MERS―CoV)2012年サウジアラビアで発見された。27国で2494人が報告858人。(致死率34.4%)。病院内、家庭内で、重傷者から飛沫を介して起こる。多数はウイルスに感染しても軽い呼吸器症状あるいは不顕性感染。

Ⅱ. ウイルス学的特徴

  • 1965年に風邪患者の上気道洗浄液をヒト胎児気管の器官培養(organ culture)に接種し分離した。
  • 太陽のコロナに似た外観を呈していた。
  • 直径約100nm。球形。表面には突起がある。
  • 形態が王冠[crown]に似ていることからギリシャ語で「corona」と言う名前がつけられた。
  • ニドウイルス目、コロナウイルス亜科、コロナウイルス科に分類。
  • 脂質二重膜エンベロープの中にNeucleocapside(N)蛋白に巻き付いた一本鎖のRNAゲノムがある。
  • エンベロープの表面にはSpike(S)蛋白、Enverope(E)蛋白、Membrane(M)が配置されている。
  • ゲノムの大きさはRNAウイルスの中では最大サイズ30kb。