アクアポリン

アクアポリンの穴の直径は3Å(オングストローム)です。水の分子は2.8Å。Å=1億分の1cm,1nm(ナノメートル)の10分の1です。例えば1ナノがピンポン玉だったら、1Åはゴマ粒以下の大きさとなります。なかなか想像がつきませんね。

人間の体の60~70%は水でできています。この水分を細胞内で一定に保つ働きをアクアポリンは行っています。アクアポリンの穴は直径3オングストローム(1オングストローム=10⁻10m)です。水の分子の大きさが2.8オングストロームなので水より大きなものは通れません。自動的に水が出入りしています。そのスピードは速く1秒間に20億個の水分子が移動しています。

さらに詳しく説明しますと、体を構成している約60兆個の細胞があり、その細胞を形成している細胞膜があり、脂質二重層という油性の膜で、基本的には水を通過させません。しかし、すべての細胞は高い水透過性があることが知られています。30年ほど前までは水透過性があることの正確な原因をつかめないでいました。1992年ジョンホプキンス大学アグリ教授が赤血球から水透過性の性質を持ったたんぱく質を発見しました。これをアクアポリンと名付けられました。(2003年、ノーベル化学賞を受賞されました。)

さらに研究が進み13種類のアクアポリンが確認され、水だけでなく尿素やグリセロールのような低分子、さらにイオンを通過させるものもあります。また、植物では、ガスとしての二酸化炭素を通過させて光合成に関与するものもあります。

 細胞に必要な水分を運んでいるのは、こんな仕組みがあるのです。この水の完全に溶け込んだ溶解型酸素は、同時に細胞内に吸収されていきます。