Prog.Med 36:571~576,2016
萩原敏且(Hagiwara Toshikatsu)1),4)、山崎 勉(Yamazaki Tsutomu)2), 4)、野口いづみ(Noguchi Izumi) 3),4)、松本美弥子(Matsumoto Miyako) 1),4)、織田慶子(Oda Keiko) 4)、松本高明(Matsumoto Takaaki) 1),4)
1)メデイサイエンス・エスポア株式会社、2) 若葉こどもクリニック、3) 餞見大学歯学部麻酔科、4)特定非営利活動法人QOLサポート研会)
はじめに
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)はタバコの煙を主とする有害物質を長期にわたって吸入茅曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景にした中高年に発症する生活習恨病で、喫煙者の15~20%がCOPDを発症し、治療によっても元に戻ることはないといわれている1)。厚生労働省の統計による2014年の死亡患者数は16,184人で全体として増加傾向にある2)。また、2001年の疫学調査研究NICE (Nippon COPD Epidemiology)スタディによると日本人の40歳以上のCOPD有病率は8.6%、患者数は530万人と推定されている3)。しかし、2011年に病院でCOPDと診断された患者数は22万人であることから、COPDであることに気づいていない人は500万人以上いると推定されている2)。COPDを疑うべき症状として40歳以上、喫煙歴がある人、慢性の咳・痰、階段や坂道を上る際の息切れなどがあるが、息切れの程度により重症度の判断も可能とされ、更衣や洗面など日常動作での息切れは重症とされる3)。われわれは自社開発した気液混合装置(特許出願中 特願2010-279153)を用いてRO水(純水)と純酸素の製品(WOX®)を製造販売しているが、本製品は大気圧下で長時間放置状態においても酸素が高濃度で長期間維持できることは既に報告した4)。また、あわせて本製品の飲用により動脈血酸素飽和度(SpO2)が上昇することから、腸管から酸素を補給できる製品であることも明らかにした4)。本論文では、COPDと診断された患者l名においてWOX®飲用によりSpO2値および呼吸器症状の改普に有効であることを示すとともに、一般被験者で息切れなどCOPDが疑われる呼吸器症状の改善に有効かどうか検討した。