「動物と人の予防医学研究会」について

「動物と人の予防医学研究会」理事長 帝京大学教授、東京農業大学客員教授
中江 大

「動物と人の予防医学研究会」は、One Health概念の下、SDGs達成にも貢献すべく、多岐に亘る分野からの参加者が持つ知識・経験・アイデアなどを結集して動物と人の健康増進と良好なQOLの達成に繋がるイノベーションを図り、情報発信を行うことを目的に設立した。
その目標は、

  1. 動物と人のインタラクションによる「予防医学」:双方のQOL向上、健康増進、健康寿命延伸を図るためのプラットホームになる
  2. 動物を対象とする機能性食品・飼料カテゴリーの設定につながる提案を行う。
    の2点である。

動物のQOL向上、また、人のQOL向上については、それぞれの分野において、様々な試みが為されている。しかし、動物と人のインタラクションを前提に、両者のQOL向上を目指す試みは稀であり、弊研究会はその実現のプラットホームになることを目標としている。高齢化は人だけでなく伴侶動物においても課題となっており、「予防」によるQOL向上は喫緊の至上命題である。その主要な解決手段のひとつである生活習慣の改善は、食をはじめとする様々な方向から取り組まれているが、前述のように、伴侶動物と飼い主が相互に影響を与えることを利用して、双方の「予防」によるQOL改善が可能となろう。

同じことは、精神的な「幸福感」の獲得によるQOL改善にも言えることである。弊研究会は、人 and/or 動物の健康増進・QOL向上のためのイノベーティブなアイデア(未成熟なものを含む)を持つ研究者・企業、人 and/or 動物の健康増進・QOL向上のための原材料や開発技術を持つ研究者・企業、材料加工・テクスチャー操作などの技術を持つ研究者・企業、人の健康分野から動物の健康分野に進出を図っている研究者・企業、動物の健康分野から人の健康分野に進出を図っている研究者・企業などが集うプラットホームとなることにより、それらみなさまの御力をお借りして、動物と人双方のQOL改善を実現したいと考えている。

日本において、人に対してはトクホや機能性表示食品などの制度があるが、伴侶動物や畜産動物に対してはそのような制度がなく、それらの動物用食品/飼料についてはヘルスクレームを示すことができない。弊研究会は、関係するみなさまのアイデアと御力をお借りし、それらを結集して、動物を対象とする機能性食品/飼料カテゴリーの創設につながる提言をしたいと考えている。そのようなカテゴリーができれば、動物と人のQOL向上に資するのみならず、新たな研究開発分野やビジネスチャンスを産み出すことに貢献できるものと期待している。

「動物と人の予防医学研究会」は、まだ産声を上げたばかりで、よちよち歩きしながら準備を進めている。みなさまにおかれては、どうか一般会員・学生会員そして賛助会員として御参加いただき、御力を御貸しいただければありがたく、御高配をお願い申し上げる次第である。御関心を持っていただければ、中江(0436-74-6713、d.nakae@thu.ac.jp)まで御連絡いただければ倖である。